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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

J-POP の記事一覧

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あえて今更B'zの足跡を辿る(4)J-POPのあり方にひとつの回答を出した全盛期

2013.07.13 (Sat)
ブルースに傾倒した「暗黒の時代」においてもセールス的な成功を収め、なんでも売れてしまう無敵状態へと突入したB'z。「売れるグループ」から「好きな音楽をやれるバンド」へ、という松本の野望も成就したところで、その先の展開への模索が始まる。
B'zは再び、最先端から加速するのである。

『ねがい』
95年はB'zにとってリセットの年となった。それまで音楽制作の中核をなしていたチームを解体し、松本と稲葉の二人でB'zという原点に立ち返ったというが、アレンジャーに稲葉の名がクレジットされるようになったのはそのひとつの表れであるといえるだろう。
そうしてリリースされた『ねがい』は、「暗黒の時代」とはうってかわってポップ路線に回帰。童謡を意識したというピアノのイントロ、カッティングが冴え渡るジャジーなアレンジ、ファルセットを交えパワフルかつ繊細になった歌唱、などなど、これまで積み上げてきた音楽をうまくポップス・ロックに昇華した1曲だ。このあたりの、万人向けと本格派のバランスは絶妙で、個人的には傑作だと思う。単純だけどサビのギターリフとか好き。
長髪をばっさり切った稲葉は爽やかお兄さんとして再生。すっかりダークサイドから抜け出し、内向的だった歌詞もポジティブな応援歌へと変化した。
日々の鬱屈を世間や他人のせいにせず、願いがいつか叶うように生きていこうぜと鼓舞する稲葉先生。恋愛では“情けない僕”を歌う稲葉だが、本作では「いつの間にかじゃない自分で選んで歩いてきたこの迷路」「世間をののしりゃご老人」などなど、人生泣くも笑うも自分次第と力強い。「夢はいつか叶うよ!」とかいう日和った歌詞と違って、「どうなろうがお前の人生だろうがよ!」と叱咤してくれるのが稲葉スタイルなのだ。そうだよなあ、愚痴ばっかり言ってても仕方ないよなあ、などと妙に反省したりする。

『Love me,I Love You』
『ねがい』に続いてリリースされたポジティブソング。「暗黒の時代」の反動か、この頃のB'zは明るいメッセージを連投してくるなあ。
本作はブラスをフィーチャーしたアレンジで、数多いB'zのシングルの中でもトップクラスの明るさを放つ。歌詞のリズム感も抜群で、メロディに心地よくはまるようにフレーズを練るという稲葉の姿勢がよくわかる。
「ふとんを噛んで考えて」「そこんとこ埋めるべきなのは」「けちってないで僕はきっと愛をもっと出せる」「すぐにムッとするのグッと堪えて」
“ん”とか“っ”をうまくはめて、とにかくリズミカルに、メロディの元気のよさを殺さないようにしている。稲葉独特の語感は、本人の語彙力とセンスによるところが大半だが、一見ヘンな言葉でもこうして躊躇なくメロディに乗っけてしまう迷いのなさにもよるんだなあと感心してしまう。「なんちゅうLOVE!」なんて歌わないでしょ普通。「気持ちよくなりたけりゃ今出して」でとどめ。ちょいエロ変態風味はねらってやってるよな絶対。

そんな稲葉節全開の歌詞だが、言っていることは真っ当。人を愛する振りをして妙な期待を抱きすぎてはいないかい? と投げかける稲葉。期待を裏切られたり、ついてねーなーと感じるとき、僕らはついつい他人や環境に責任を求めてしまいがちである。そこで稲葉は、もっと自分に目を向けたらどうだろうと提案。
「人の心はどうしても何か足りないけれど そこんとこ埋めるべきなのは」
「恋人じゃない 親でもない ねえそうでしょ」
!!!!!
あれこれ難癖をつけては満たされない自分の心を満たすのは、結局のところ自分自身なのである。J-POPにありがちな、恋人こそ人生といわんばかりの恋愛ソングに強烈なカウンターパンチを見舞う。
もっと自分も愛して、山も海も人も愛せるようになろう。さすれば人生これ満足。楽観的ともとれるが、極めて健康的な心のもちようであろう。

会いたくて震えてる場合じゃないぜ!

『LOVE PHANTOM』
B'z史上2番目の売り上げ枚数を誇る大ヒットシングル。その記録に恥じない、J-POPが辿りついたひとつの到達点ともいえる傑作だ。
ストリングスによる1分を超えるイントロは、オペラの幕開けを思わせる壮大さ。静謐な雰囲気から、スピード感溢れるサビに突入していく冒頭の構成は否が応でも聞くものの気分を高揚させる。
4つ打ちのデジタルビート、弦楽器の生音、そして松本のギターにキレのある稲葉のボーカル。これらが絡み合って疾走する様はかつてないほど劇的である。
歌謡曲の時代から、洋楽のあらゆる要素をチャンポンしながら、バンドブーム、カラオケブームを経てやがてビーイング的な量産体制に入った邦楽は、J-POPというドメスティックな特異点に至った。その中で常にマーケットと睨み合いながら音楽性を変化させてきたB'zは、この『LOVE PHANTOM』をもってJ-POPなるものに最終回答を提出したといっていいだろう。
邦楽史の名曲というよりも、J-POPの究極形態と評すべき1曲だ。


洋楽偏重だった「暗黒の時代」から一転して、J-POPの中心地へと回帰しつつ加速度的に進化したB'z。この時点でまだまだデビュー7年に過ぎないが、いわゆるB'z的な音楽はほぼ完成したといえる。
ファンが全盛期と称するこの時期を過ぎると、B'zスタイルの中でのマイナーチェンジを積み重ねるようになり、緩やかに売り上げも落ち着いていく。普通ならやり切った感で解散したりしそうな気もする状況だが、ここから18年も継続してきた彼らのモチベーションは驚異的だなあ。

といったところで続く。
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歌う俳優たち、その5:哀しみを歌い続けるハイブリッド俳優、吉田栄作

2013.07.06 (Sat)
あの彦摩呂も輩出したといういわくつきの「ナイスガイコンテスト」出身、モデル上がりで俳優から歌までこなすハイブリッドな存在だった吉田栄作。90年代前半はMr.トレンディといってもいいほどの活躍だった。
ところが95年に活動休止して渡米すると、英語を身につけて帰国、ジャンボになるどころか「ヒモ」だなんだと揶揄されたあげく、なぜか『マネーの虎』のMCに収まるという事態に。芸能界というのは大変です。魔物が棲んでいる。

『心の旅』ジャンボ度:★★☆☆☆
彼の歌でもっとも印象に残っているのがこの曲。当時の僕は子どもだったので、チューリップのカバーだとは知りませんでした。
ニューミュージックの祖が作った曲だけに、もともと古さを感じさせないが、吉田栄作版では当時のJ-POP風アレンジに。結果、大事マンブラザーズバンドみたいになった。
肝心の吉田栄作の歌唱というと、クセもテクもなくストレートで良いです。若々しく力強いところは姫野達也より優れているといえるかも。
なんとこの曲で紅白歌合戦出場。

『僕は何かを失いそうだ』ジャンボ度:★☆☆☆☆
シンガーソングライター・陣内大蔵による作。
うーん、今になってみると何かを暗示するような不吉なタイトルですなあ。コレが言いたかっただけですハイ。

『もしも君じゃなきゃ』ジャンボ度:★★★★☆
紅白2度目の出場は、TMよろしくノリのいいアップテンポなナンバーで。ズッダン、ズッダンというリズムとグルーヴィなベースが心地よい。横文字ばっかやな。
どことなく歌い方が宇都宮隆っぽいのは気のせいだろうか。さ行の感じとか。
松井五郎御大による歌詞は、「もしも愛する相手が君でなかったのなら、僕は僕でいられない」という一途な愛を歌うものだが、「君はもう永遠に眠り続けてるのに」と死別をにおわせる。
吉田栄作の歌って、なんかこういう悲恋とか愛する君とか抱きしめたいとか、そんなんが多い気がするなあ。

『BORO BORO』ジャンボ度:★★☆☆☆
特にヒットもしてないが気になる1曲。ちなみにBORO BOROで検索するとBOROさんの『BORO BEST』などがヒットするので注意が必要。
「悲しくて涙がBOROBORO、こんなにBOROBORO」と、彼女を他の男にとられてしまった悔しさ、未練がましさを歌うバラード。ギターもわんわん泣く。
またしても松井五郎氏の手による歌詞だが、相変わらず報われない吉田栄作さん。栄作をどうしたいんだ! 彼はもうボロボロよ!

『今を抱きしめて』ジャンボ度:★★★☆☆
仙道敦子とのデュオ、“NOA”名義でのシングル。「のぶこのNO」と「AさくのA」とのこと。プロレス団体とは無関係。
いかにもYOSHIKI作という、ピアノとストリングスが流麗なバラード。白いシャツの袖をまくり、胸をはだけさせた吉田栄作が情感たっぷりに歌い上げる。立ち姿はカッコいいんだけど、曲自体は、うーん、ただ綺麗な曲かなあ。
そして!
「過ぎ去った季節に貴方が残した 言葉が忘れられなくて 今も」ときたよ…。男女双方の視点で語られているとはいえ、やっぱり涙する吉田栄作。なぜなんだ!


抱きしめすぎで泣きすぎで別れすぎな吉田栄作ソング。
愁いを帯びた色男の心の旅は、ボロボロになりながらも芸能の世界へ帰結し、歌を歌う情熱もまた燃え盛っているようだ。はたして“太陽野郎”の再ブレイクはいつの日か。

あえて今更B'zの足跡を辿る(3)愛のままにわがままに無敵状態へ

2013.07.05 (Fri)
石橋を叩きまくって渡る松本の戦略が功を奏し、『ZERO』のヒットをもってとうとう限界突破したB'zさん。「僕たちロックユニットです」という名刺を配り終え、好きなように音楽を作れる足場と財力を築いた。
そしてCDバブルの到来と歩調を合わせるように、何やっても売れるという無敵状態へと突入していく。

『FRIENDS』
92年末にリリースされたミニアルバム。ご存知『いつかのメリークリスマス』は冬のスタンダードナンバーになっている。
これまでのミニアルバムは、新たな音楽性を小出しにしたマーケティングの意味合いが強かったように思われるが、本作はそうした実験的なアプローチとは異なり、単に彼らがそのとき作りたかったコンセプトアルバムという感じ。
アルバム全編を通してひとつの物語になるよう構成されており、ニューミュージック風の大人なアレンジで全曲を統一、歌詞も主人公の回想から心情の吐露でまとめるなど、短編映画を観るような味わいだ。以前のダンス・ポップ・ロック路線とは似ても似つかないアダルトB'zがここにある。
これは個人的には名盤だと思うなあ。ジャケットのアートワークから何から徹頭徹尾「感傷的な冬」が貫かれていて、ここまでドップリとワールドに浸れる作品はそうそうない。なんというか、暖炉の前で籐椅子に座っているような、温かみのある冬を感じられる。

「ZEROがっいいZEROになろー!」とくるくる回転したりギターにドリルをあてがっていた連中がこれを作る振れ幅。そしてデビュー4年目だというのにこの完成度。うーん、センスとか好き嫌い以前に、プロミュージシャンらしいクオリティの高さを認めざるを得ない。

それにしても『いつかのメリークリスマス』に出てくるプレゼントの「椅子」は妙にひっかかるワードだよなあ。椅子だよ? で抱えて電車乗るんだよ? 稲葉の実体験なのかなんなのか知らないけど、この椅子の登場によって歌詞世界の光景がとたんに具体的に見えてくるから不思議だ。ありきたりなアクセサリーや洋服ではこうはいくまい。恐るべし稲葉。

『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』
長ーいタイトルがつとに有名な1曲。このシングルがB'z最大のヒットというのが解せないのは僕だけでしょうか。
ギュンギュンにハードだった『ZERO』から一転、ハネるブラスが印象的なポップスで、ドラマ『西遊記』の主題歌だったこともありオリエンタルな雰囲気も匂わせる。相変わらず律儀。
それにしても曲の印象はとにかくフツー。親しみやすいと言えば聞こえは良いが、これといった特徴がない。もっとも、だからこそ一番売れたのかもしれないけど。

「信じるものしか救わないセコイ神様」と、盲目的な信仰をさりげなく拒否するリアリスト稲葉に乾杯。

『裸足の女神』
ボンジョビ風味のポップロック。B'zの二人の趣味の中から「あれっぽいのやってみよう!」という曲は、主にミニアルバムでおっかなびっくり出していたのが、『ALONE』以降、こうして堂々とシングルで出せるようになったところに王者B'zの確立を見る。
発売当時はいわゆる「ビーイング系」の最盛期であり、本作はB'zの中でも特にビーイングっぽい清涼飲料系ソングに仕上がっている。あまり面白みはないかなあ。

『Don't Leave Me』

本作がリリースされた94年は、ファンにとっても、B'z自身にとっても、「暗黒の時代」と記憶されているらしい。なぜならば、発表する曲がことごとく暗く、重いからだ。前年の優しく朗らかなB'zはいったん退却し、非常にわかりやすくブルースに傾倒する。
暗黒時代の鏑矢となった『Don't Leave Me』は、ブルースハープが印象的なスローバラード。稲葉の歌唱がねっとりと重苦しく、土臭いアメリカンなムードを漂わせる。
うーん、たしかに暗いぞ。失った恋人にすがるように「いかないでくれ!」と叫ぶ稲葉。Cメロの張り裂けんばかりのシャウトも痛々しい!

この94年は例年になく多数のライブをこなすなど、ロックユニットからアメリカンハードロックバンドへの脱皮を図っているように感じられる。身軽な二人組みで始まったB'zだが、やはり彼らのルーツである「ロックバンド」への憧憬のようなものがあり、ついに実現したといえるだろう。
この年を境に、他のビーイング系ユニットとは一線を画した存在感・本物感が備わった気がする。

それにしても稲葉の超・長髪は、暗黒路線のイメージ戦略か、それとも髪を切るのを拒んで教員免許をあきらめたというアウトロー根性を思い出したか知らないが、ものすごくむさ苦しいぞ! キムタクや江口洋介など目じゃないほど伸ばしっぱなしのストレートヘアー。稲葉でなければ許されない。

『The 7th Blues』
ライブ三昧の94年にリリースされた2枚組みのオリジナルアルバム。
これは彼らがファンを教育すべく放った渾身の一発だったに違いない。「俺たちはポップスターじゃない! アイドルグループでもない! こういう音楽を聴いてほしいんだ!」と主張するように、思い切りルーツミュージックを叩きつけてきた。洋楽へのオマージュも満載で、もう、とにかくついて来いと言わんばかりだ。
タイトルのとおり、2枚のアルバムを貫くテーマはブルース。ブラックミュージックのエッセンスも交えつつ、渋く渋く、そして渋くまとめられている。
中には『LADY NAVIGATION』の再アレンジも収録されているが、アコースティックかつスローで、原型をとどめないほどドロドロに改変されている。ソフトクリームを舐めたりしていたあの弾けっぷりは皆無。変貌するB'zを象徴する1曲だろう。

このアルバムは、B'zが目指す洋楽的ミュージックへの通行手形、あるいは踏み絵といえる作品である。
『ZERO』でハードロックへの扉を開いたB'zが、より濃厚な洋楽志向をマーケットに叩き込むために不可欠な1作だった。

そして恐ろしいことにこのディープなアルバムが150万枚を超えるセールスを記録し、B'zは晴れて「なんでもアリ」の無双状態へと進化するのである。

『MOTEL』
「暗黒の時代」を締めくくるブルージーなバラード。贖罪や禊がテーマとなっており、相変わらず重苦しい雰囲気。演奏がブレイクしつつ「ひとりじゃ、ないから」と稲葉が独唱するサビ頭がインパクト大。すっかりテクニカルになったボーカリスト稲葉の実力が示される。
曰く「流行の曲がつまらない。(売れ線でない)こういう曲がチャート上位にあるのがおもしろい」と、めずらしく、退屈なヒットチャートにドロップキックをかます松本先生。『7th Blues』でつかんだ自信がそう言わしめているのだろうが、当時これほどダークでヘビーな曲を100万枚売る歌手は他にいなかった。
当時チャートを席巻していたのは他ならぬビーイング系のプロダクトだぞ? まさに流行を作り出していた彼らの横っ面をひっぱたくようなこの気概! 暗黒時代ゆえに現れた松本のダークサイドなのか…(うそ)。


デビューから6年。いかに売れるかを模索し、趣味を小出しにしながらマーケットにお伺いを立ててきたB'zは、こうしてヒットチャートの王座に君臨した。そして自分たちのやりたい音楽で邦楽市場に新風を送り込もうとするまでになったのである。

といったところで続く。

あえて今更B'zの足跡を辿る(2)大衆性と趣味性

2013.06.22 (Sat)
前回、B'zのデビュー曲から楽曲のスタイルと意図を探り、シビアかつ強かなビジネスパーソン・松本の姿を確認した。彼らがポッと出のラッキーユニットではなく、感性に任せたライブバンドでもなく、「売れるべくして売れた」オトナのプロジェクトであったことが窺えたように思う。
そしていよいよ趣味性に走っていくB'zのブレイク後を追う!

『LADY NAVIGATION』
ブレイクを果たし前作までで音楽の幅を広げてみせたB'zは、もう一度確かめるようにデジタルに戻ってきた。
この曲に関しては、まず何も言わずにPVの視聴をすすめる。紙くずが舞う中、満面の笑みを浮かべながらクネクネとダンシングする稲葉氏。今になってみると笑えてしまうビデオだが、これを今恥ずかし気もなく披露できる彼らの素朴さといったらどうだ。飾らない人柄に胸を打たれてしまう(大げさ)。
曲は原点回帰したかのような軽やかさ。というかペラペラ。「ロックこそB'z」と信じてやまない方にはウケないだろうが、僕が密かに気に入っている松本のカッティングが楽しめる。
稲葉の歌詞も冴え渡り、「公園のベンチでソフトクリームを舐める」「地球にはじけるほほ」などなど、独創性溢れるフレーズを投げ込んでくる。うーん言葉の意味はよくわからんが、なんだかすげえイメージだ!

本作はカネボウ「NAVI」とのタイアップだったため、キッチリと歌詞にも「NAVI」を使用。後のタイアップソングにも度々見られる律儀さだが、こういう生真面目なところもまた、商業主義とか言われてしまう遠因なのかもしれんですね。
まあコピーと歌詞を絡めるなんてのは昔のアイドルソングとか世良さんの『燃えろいい女』とかにもあるわけで、本人たちはエンジョイして作ってると思うんだけど。

『ALONE』
サビ前のオーケストラヒットが印象的なロッカバラード。いかにもロックバンドっぽく、とうとうやりたいことをやりだした感じがする1曲だ。
が、しかし、モトリークルーの『time for change』に似ているとの指摘あり。ええ。コード進行そっくり。AメロからBメロもほぼ一緒やね。いやはやなんとも苦笑いしか出てこない…。
ま、まあモトリーのほうがシンプルで、び、B'zのはアレンジが凝ってるね! うーん、好きでこういうのやりたかったんだろうなあ。以上!

『MARS』
音楽性をシフトしようというときに、毎度毎度出してくるミニアルバム。「踊れるハードロック」がテーマだというように、ついに念願の「ハードロック」への扉をノックする。
1曲目『孤独のRUNAWAY』からヘヴィな音作りになっており、今日のロック歌謡的なB'zの原点がここにあると思う。中期以降の楽曲が好きな人ならば、ここまでは遡って聴いてもまず違和感はないだろう。

このアルバム、これまで以上に実験的である。攻めすぎている。表題曲である『MARS』からして、静かで不穏なギターにのせて、ただひたすら稲葉が語るという代物だ。
しかし、それ以上に僕が問題視するのが、『Loving All Night 〜Octopus Style〜 』! 間奏中、突如として喘ぎ始める稲葉…
「はあ、は、はあ…」(おやおや?)「ああ! あう! んぅぅぉぁぁああああういぇえ!!」と喘ぎからのシャウト! 絶頂に達する稲葉! 凄まじいハードロック! なんやねんコレ!

『BLOWIN'』
喘ぎ声まで投入した『MARS』に手応えを感じたのか、同じ路線でシングルをリリース。シングルゆえか、こちらのほうがポップ。さすが松本、手堅い。
デビュー当初から掲げてきた「デジタルと生音の融合」はここへきてマーケットに受け入れられ、松本がじっくりと階段を上ってきた結果、踊り場に立ったといえるだろう。初期B'zの完成型である。
「ボーロボッロにー」と始まるAメロが印象的だが、歌詞とメロディの心地よいハマり具合もお見事。「歌詞にタブーを作らない」とは稲葉の談だが、以後、譜割に合わせて妙なフレーズも歌いこなす稲葉らしさの萌芽を見る。

『ZERO』
前作で「デジタルと生音の融合」に一応の完成を見た。それまで慎重に慎重を重ねてハードロックという趣味性を小出しにしてきた松本は、ここで一気にロックへと振り切ってみせる。果たしてこの勝負手は、吉と出たのである。
イントロから、明らかに重厚になったバスドラムと歪むギターサウンド。「風がブロウィング」していた爽やかさはどこへやら、稲葉も「オーライ!」とすっかりロックだ。
歌詞のほうも「このまま車ごと君の家に突っ込もうかなんてことまで浮かんでくる」とアナーキー。そして「工事渋滞」や「からっぽの冷蔵庫」というフレーズに忙しない都会暮らしの虚無感を託しつつ、東京砂漠よろしく無味乾燥な世界でいっそ何も考えずゼロになってしまいたい、と歌う稲葉。これほど象徴的に“気分”を言葉にできるとは、詩人だなあ。

しかし、こうしてミリオンセラーになったこの曲も、The Eaglesの『Victim Of Love』に酷似していると指摘されている。う、うぬぬ…。


当時だってロックバンドは活躍していたが、100万枚売るようなポップス歌手がコテコテのアメリカンハードロック/メタルをやるというのは、たしかにチャレンジだったろう。今マーケットを見渡しても彼らほど大衆性を備えたハードロック/メタルのバンドがいないことを考えると、彼らが開拓者にして孤高の王者であることは自明だ。

ここでも何曲かあげたように、たしかにパクリといわれてしまうのも仕方がない面はある。ただ、あえて言うなら、洋楽ロックを下地にしながら日本の大衆にブリッジしたことに、意味があるとは思えないだろうか。もっと好意的に解釈するなら、それは彼らにとって「大好きな音楽」の延長にある遊び心だった。
もちろん人によって捉え方はそれぞれだし、パクリという批判もあって当然だと思う。
しかし僕は、彼らが趣味性の結果として成し得たことは、大衆邦楽市場にひとつ新しい音楽を持ち込むという価値ある行為だったと思うようにしている。


といったところで続く。

歌う俳優たち、その4:隠れシンガーソングライター江口洋介

2013.06.21 (Fri)
サラサラツヤツヤのロン毛にキャップ姿で「日本のあんちゃん」に君臨した男、江口洋介。
年々、男臭く渋みを増していく彼は男性から見ても魅力的で、もはやあんちゃんというよりアニキだ。

ヒマさえあればバス釣りに出かけるこの自然派男児が、かつて歌を歌っていたことは知っている人も多いだろうが、実は作詞作曲をこなすシンガーソングライターだったことはあまり知られていないのではないだろうか。
はい、僕は正直知りませんでした。

『恋をした夜は』あんちゃん度:★★★★☆
おそらくこの曲でほとんどの人が江口の歌を認識したであろう、最初のヒット曲。とはいえオリコンチャートでは最高17位とさほど振るわず、どちらかというとじわじわ長い時間をかけて浸透していった。
缶コーヒーのCMソングの印象が強いこの曲、映画『七人のおたく』の挿入歌だったりもする。ウッチャンナンチャンが主演、7人のオタク達がそれぞれ得意な技巧や知識を駆使して作戦を遂行する、というなかなか尖った映画である。サバゲーオタクやフィギュアオタクなど、今も数多い愛好家たちの類型はここである程度示されていて、余暇をとことん趣味に費やすバブル期のオタク文化が、アングラからメインへと引き上げられ始めた時代背景を思うと感慨深いものがある。
そんな中で江口が演じていたのはMacオタクのエンジニア! いまやMacはファッションアイコンですからねえ。劇中の江口もファッショナブルな雰囲気で、Macの立ち位置みたいなものを非常によく捉えている…気がする。

歌と関係ない話が長くなってしまったが、曲は爽やか系ミディアムポップス。恋の始まりに弾む気持ちや、片思いしている時期のもどかしさなんかを歌う。「君の部屋の灯かりを ひとり遠く見ていた」とか「君のうしろ姿を 熱く熱く見送った」とか、気持ちはわかるが軽いストーキング風味でやや物騒。気持ちはわかるよ!
好きな人ができるとねー、すべてとは言わないけど、少なくともその恋はなんとかなるんじゃと思っちゃう目出たいタイプだったよ僕も。こういう男子の能天気さは、あんちゃんも同じだったかー。
溢れるポジティブ。

『愛は愛で』あんちゃん度:★★★★★
こちらはドラマ『陽のあたる場所』の主題歌で、オリコン8位と健闘。ところがこのドラマにはなんと江口洋介が出演すらしていないという、歌う俳優にあるまじきパターン! シンガーソングライターだからすかね! 曲提供したんすかね!

曲のほうは、アコースティックギターとピアノのノリが良い軽快なロック(?)。なんとなく福山雅治の『hello』とかを思い浮かべれば近いような。
一生懸命生きてれば、愛や夢もなるようになるさ! そんなポジティブな人生観をアッパーに歌い上げる江口。歌唱にも力が入っているのがわかる。ドラマが青春をテーマにしているので、それに合わせたんだろうか。どこまでも青臭く真っすぐだ。『ひとつ屋根の下』しかり、この頃の江口はこういうバカみたいに直情的な爽やかあんちゃんというのがパブリックイメージだったんだろうなあ。


今や完全に音楽活動から身を引いてしまった江口洋介。俳優というより役者といった風情の今の彼では、確かに片手間に歌を歌うのは難しかろう。でもせっかく曲作ったりしてたんだから、たまには歌ってほしいなあ。森高千里にドラム叩いてもらってさ。
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