Layabout

物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

黒人カウボーイの西部劇 『ジャンゴ 繋がれざる者』

2013.03.18 (Mon)
タランティーノの最新作、『ジャンゴ』観ました。
165分という大作ですが、サクサク話が進むので意外とダレずに観られました。あんまり複雑な筋書きじゃなく、前に前に進んでいくからわかりやすいのかも。あと結末がどうなっちゃうのか読めないから飽きずに楽しめます。

本作の主人公は解放奴隷の黒人ジャンゴ。とあるドイツ人賞金稼ぎとの出会いから自由を得たジャンゴが、ミシシッピーの農場主カルビン・キャンディのもとで奴隷になっている妻を奪還しに行くストーリーです。
瞬く間に凄腕ガンマンへと成長し愛する妻を助けようとするジャンゴと、奴隷をこき使って高笑いする成金キャンディの対比は、わかりやすく逆立ちした西部劇的勧善懲悪。そもそも黒人カウボーイ(しかもジャンゴ)のマカロニ・ウエスタンという時点で猛烈にシニカルなわけですが、とにかく、これまで黙殺されてきた白人の悪辣な面を見よというタランティーノ先生の意図がうかがえます。

ところが映画を見終わる頃には、構図はもう少し複雑に。
ジャンゴの師匠というべき賞金稼ぎは奴隷制度を憎む白人だし、キャンディの奴隷頭(サミュエル・L・ジャクソン)はジャンゴと同じ黒人で奴隷なのに小憎らしい敵役だし、キャンディは優れた黒人を認めているような節があるし、どうしようもない阿呆みたいな白人も描かれる。
単純に人種の立場を倒錯させて平等を語るんじゃなく、もうちょっと大きな、人間の性(さが)や業や尊厳みたいなものを認めようとする態度がこの映画にはあるんじゃないでしょうか。大げさに言うと。

とまあ小理屈を並べてみたものの、やはりタランティーノの映画はエンターテインメント。最後はムカつくやつらにガンガン銃をぶっ放し、終いにはドカンと大爆発してみんな粉みじんです。四の五の考えるのは後にして、「やっちまえジャンゴー!」ってな感じで楽しむのが正解なのかもしれません。
(個人的にはタランティーノがカメオ出演して爆死しちゃうところがバカバカしくお茶目で好きです。ああいうの絶対に自分でやりたいんだろな)
例によって凄惨なシーンが満載で、生きるか死ぬかのヒリヒリした緊迫感もありますが、奴隷に対する暴力や彼らの怒りを描くという点では、表現的にはすごくマッチしているように思いました。


過去の白人ヒーロー西部劇が無視してきた奴隷制度に突っ込んだ、などというものだから、なにやらタランティーノっぽくない社会派映画をイメージしていたのですが、ふたを開けてみれば、まあいつも通りでした。
容赦ない暴力、飛び散る血飛沫、クールなBGM、個性溢れるキャラクター、サミュエル・L・ジャクソン、漂うB級臭。
安心のタランティーノブランドです。

<蛇足>
この映画は『続・荒野の用心棒』を下敷きにしているらしく、それ以外にもジャンゴとシュルツの師弟関係や雪の中の殺し合いなど、西部劇へのオマージュが様々に散りばめられているみたいです。
映画好きならその辺ニヤリとできるかと思いますが、特に映画通でもない僕の頭によぎったのは『Steel Ball Run』でした。そうです荒木先生のマンガです。
思い返してみると、ジャイロとジョニィの師弟関係だったり、リンゴォとの決闘だったり、殴るより撃ち合う戦いだったりするのは、西部劇を参照しているのかなと今更ながらに思いました。
スポンサーサイト

コメント


管理者のみに表示

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。