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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

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マッキー最高

2012.10.13 (Sat)
 槇原敬之の作詞能力は想像力だ。
 特に色恋をテーマにした歌の少女漫画のような情景を、あそこまで繊細に描写できるのは、男性歌手ではマッキーを置いて他にない。きっとものすごく感傷的で女性的な(!)人なのでは。

 基本的にマッキーはストレートしか投げない。
 元巨人の槙原氏はストレートとフォークとスライダーを武器に完全試合を達成したが、こちらの槙原氏はストレートの連投だ。駆け引き一切なし。だからヒットばかり。バックスクリーン3連発程度では収まらない。

 『もう恋なんてしない』の歌い出しは
“君がいないと何にもできないわけじゃないと ヤカンを火にかけたけど紅茶のありかがわからない”
とくる。どストレートすぎて解釈のしようがないほど、失恋した男の隠しきれない喪失感がありありと浮かぶではないか! この後の歌詞は、おいしくない朝食作っちゃったけど文句を言う相手もいない、やっと自由になったけど実はそれ以上に淋しいと続き、「同棲してた彼女と別れて淋しい僕の朝」が嫌というほど描かれる。
 2番のAメロも同様だ。2本ある歯ブラシを1本捨てる。恋人に「素敵ね!」なんて言われて買ったのであろう服も捨てちゃう。
 ああ切ない。切なすぎる! かつてジュリー先輩は「寝たふりしてる間に出て行ってくれ」と強がってみせたが、こちらは「乙女か!」と突っ込みたくなるほど感傷に浸りまくりだ。

 『SPY』なんかは彼女の浮気現場を目撃した男のショート・ショートだ。
”おあずけになったデートにがっかり”
するところから始まり、「あれ? 彼女じゃん! マジ偶然運命的! もしかして浮気してんじゃないの~? なんつってサプライズしちゃお」とかやってたら本当に浮気だったという、“シャレになんないよ”なストーリーがそのまま描かれている。
 結局こそこそついて回るだけで文句も言えず彼女をとられちゃった自分をダメSPYだと揶揄するところに作詞家マッキーの妙味があるのだが、この主人公のドキドキ感とショックは中学生にだって伝わるだろう。

 マッキーの歌詞は、非常にシンプルなテーマがそのまんま書かれることが多い。しかしポイントになるモチーフやストーリーが、憎らしいほどに上手いのだ。だから上記のような歌を聴いた人は、100人いれば100人とも同じ情景を見て、同じ気持ちになる。まさに共感を呼ぶのである。

 僕の好きな『モンタージュ』は「一目惚れしちゃったテヘペロ」なだけの歌詞なのだが、「異様にときめいたのにご尊顔が思い浮かべられない」モヤモヤをモンタージュというモチーフに託しつつ、相手の女性をハート泥棒に例えるあたりがマッキー節全開。
 “線路沿いのフェンスに夕焼けがとまってる”の歌い出しだけでなんだかしんみりしちゃう『LOVE LETTER』も、好きな娘にとうとう渡せなかったラブレターにまつわる、なんてことない話。だけど“何回も書き直した手紙は ずっと僕のポケットの中”と歌われると主人公のぽつねんとした想いが途端に胸に迫る。


 恋愛、とりわけ別れや失恋を経験するとき、誰もがストーリーの主人公になる。
 そんな自分をイメージ豊かに思い描きながら聴けるマッキーの歌は、ど真ん中ストレートの絶好球だ。それをコンスタントにビシッと投げられるマッキーマジックは本当にすごいと思う。

 ゆえに、悪球をグワラゴワガキーンしたい男・岩鬼のような漢には、あまりおすすめできない。
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