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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

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生命力漲る1冊『聖の青春』

2013.06.26 (Wed)
腎ネフローゼという重病を抱えながら将棋を指し続け、29歳で逝去した村山聖。本作は、その燃えるような生涯を丁寧に書き綴った大崎善生のノンフィクションである。


ネフローゼは、タンパク質を吸収する腎臓の機能が弱まり、免疫力が低下することによって発熱等を引き起こされる難病であるという。根本的な治療法はなく、発熱するたび、ただひたすらに身体を休めるしかない。
幼少時にこの腎臓ネフローゼを患った村山聖は、病床で将棋に出会って以後、プロ棋士、そして名人を目指して生きていく。
聖にとって生きることは名人に向かって将棋を指し続けることに他ならない。度重なる発熱、入院を繰り返しながらも、類稀な集中力と勤勉さで将棋界を勝ち上がっていく聖。「生き甲斐」という表現さえ陳腐に感じられるほど、聖にとっての名人は尊く重い。


この小説を読んで感じられるのは、人が生ききることの激しさとエネルギーだ。
夢半ばでの死という結末を迎えるにもかかわらず、村山聖の人生からは、勇気とか闘志とか不屈といった前向きな言葉ばかりが浮かんでくる。読後には悲しさや切なさよりも、自分の生命に燃料を注ぎ込まれたような熱さが残る。「泣ける」とか感動といった言葉では言い表せないほどの力をもった作品だと思う。

変わり者の師匠と聖の関係も丁寧に描かれていて、不器用な二人独特のやりとりも実に味わい深いんだよなあ。

マンガ『3月のライオン』に登場する二階堂くんのモデルでは、との説もあるので、マンガが好きな人もぜひ。
これは本当に良い作品です。
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