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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

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あえて今更B'zの足跡を辿る(3)愛のままにわがままに無敵状態へ

2013.07.05 (Fri)
石橋を叩きまくって渡る松本の戦略が功を奏し、『ZERO』のヒットをもってとうとう限界突破したB'zさん。「僕たちロックユニットです」という名刺を配り終え、好きなように音楽を作れる足場と財力を築いた。
そしてCDバブルの到来と歩調を合わせるように、何やっても売れるという無敵状態へと突入していく。

『FRIENDS』
92年末にリリースされたミニアルバム。ご存知『いつかのメリークリスマス』は冬のスタンダードナンバーになっている。
これまでのミニアルバムは、新たな音楽性を小出しにしたマーケティングの意味合いが強かったように思われるが、本作はそうした実験的なアプローチとは異なり、単に彼らがそのとき作りたかったコンセプトアルバムという感じ。
アルバム全編を通してひとつの物語になるよう構成されており、ニューミュージック風の大人なアレンジで全曲を統一、歌詞も主人公の回想から心情の吐露でまとめるなど、短編映画を観るような味わいだ。以前のダンス・ポップ・ロック路線とは似ても似つかないアダルトB'zがここにある。
これは個人的には名盤だと思うなあ。ジャケットのアートワークから何から徹頭徹尾「感傷的な冬」が貫かれていて、ここまでドップリとワールドに浸れる作品はそうそうない。なんというか、暖炉の前で籐椅子に座っているような、温かみのある冬を感じられる。

「ZEROがっいいZEROになろー!」とくるくる回転したりギターにドリルをあてがっていた連中がこれを作る振れ幅。そしてデビュー4年目だというのにこの完成度。うーん、センスとか好き嫌い以前に、プロミュージシャンらしいクオリティの高さを認めざるを得ない。

それにしても『いつかのメリークリスマス』に出てくるプレゼントの「椅子」は妙にひっかかるワードだよなあ。椅子だよ? で抱えて電車乗るんだよ? 稲葉の実体験なのかなんなのか知らないけど、この椅子の登場によって歌詞世界の光景がとたんに具体的に見えてくるから不思議だ。ありきたりなアクセサリーや洋服ではこうはいくまい。恐るべし稲葉。

『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』
長ーいタイトルがつとに有名な1曲。このシングルがB'z最大のヒットというのが解せないのは僕だけでしょうか。
ギュンギュンにハードだった『ZERO』から一転、ハネるブラスが印象的なポップスで、ドラマ『西遊記』の主題歌だったこともありオリエンタルな雰囲気も匂わせる。相変わらず律儀。
それにしても曲の印象はとにかくフツー。親しみやすいと言えば聞こえは良いが、これといった特徴がない。もっとも、だからこそ一番売れたのかもしれないけど。

「信じるものしか救わないセコイ神様」と、盲目的な信仰をさりげなく拒否するリアリスト稲葉に乾杯。

『裸足の女神』
ボンジョビ風味のポップロック。B'zの二人の趣味の中から「あれっぽいのやってみよう!」という曲は、主にミニアルバムでおっかなびっくり出していたのが、『ALONE』以降、こうして堂々とシングルで出せるようになったところに王者B'zの確立を見る。
発売当時はいわゆる「ビーイング系」の最盛期であり、本作はB'zの中でも特にビーイングっぽい清涼飲料系ソングに仕上がっている。あまり面白みはないかなあ。

『Don't Leave Me』

本作がリリースされた94年は、ファンにとっても、B'z自身にとっても、「暗黒の時代」と記憶されているらしい。なぜならば、発表する曲がことごとく暗く、重いからだ。前年の優しく朗らかなB'zはいったん退却し、非常にわかりやすくブルースに傾倒する。
暗黒時代の鏑矢となった『Don't Leave Me』は、ブルースハープが印象的なスローバラード。稲葉の歌唱がねっとりと重苦しく、土臭いアメリカンなムードを漂わせる。
うーん、たしかに暗いぞ。失った恋人にすがるように「いかないでくれ!」と叫ぶ稲葉。Cメロの張り裂けんばかりのシャウトも痛々しい!

この94年は例年になく多数のライブをこなすなど、ロックユニットからアメリカンハードロックバンドへの脱皮を図っているように感じられる。身軽な二人組みで始まったB'zだが、やはり彼らのルーツである「ロックバンド」への憧憬のようなものがあり、ついに実現したといえるだろう。
この年を境に、他のビーイング系ユニットとは一線を画した存在感・本物感が備わった気がする。

それにしても稲葉の超・長髪は、暗黒路線のイメージ戦略か、それとも髪を切るのを拒んで教員免許をあきらめたというアウトロー根性を思い出したか知らないが、ものすごくむさ苦しいぞ! キムタクや江口洋介など目じゃないほど伸ばしっぱなしのストレートヘアー。稲葉でなければ許されない。

『The 7th Blues』
ライブ三昧の94年にリリースされた2枚組みのオリジナルアルバム。
これは彼らがファンを教育すべく放った渾身の一発だったに違いない。「俺たちはポップスターじゃない! アイドルグループでもない! こういう音楽を聴いてほしいんだ!」と主張するように、思い切りルーツミュージックを叩きつけてきた。洋楽へのオマージュも満載で、もう、とにかくついて来いと言わんばかりだ。
タイトルのとおり、2枚のアルバムを貫くテーマはブルース。ブラックミュージックのエッセンスも交えつつ、渋く渋く、そして渋くまとめられている。
中には『LADY NAVIGATION』の再アレンジも収録されているが、アコースティックかつスローで、原型をとどめないほどドロドロに改変されている。ソフトクリームを舐めたりしていたあの弾けっぷりは皆無。変貌するB'zを象徴する1曲だろう。

このアルバムは、B'zが目指す洋楽的ミュージックへの通行手形、あるいは踏み絵といえる作品である。
『ZERO』でハードロックへの扉を開いたB'zが、より濃厚な洋楽志向をマーケットに叩き込むために不可欠な1作だった。

そして恐ろしいことにこのディープなアルバムが150万枚を超えるセールスを記録し、B'zは晴れて「なんでもアリ」の無双状態へと進化するのである。

『MOTEL』
「暗黒の時代」を締めくくるブルージーなバラード。贖罪や禊がテーマとなっており、相変わらず重苦しい雰囲気。演奏がブレイクしつつ「ひとりじゃ、ないから」と稲葉が独唱するサビ頭がインパクト大。すっかりテクニカルになったボーカリスト稲葉の実力が示される。
曰く「流行の曲がつまらない。(売れ線でない)こういう曲がチャート上位にあるのがおもしろい」と、めずらしく、退屈なヒットチャートにドロップキックをかます松本先生。『7th Blues』でつかんだ自信がそう言わしめているのだろうが、当時これほどダークでヘビーな曲を100万枚売る歌手は他にいなかった。
当時チャートを席巻していたのは他ならぬビーイング系のプロダクトだぞ? まさに流行を作り出していた彼らの横っ面をひっぱたくようなこの気概! 暗黒時代ゆえに現れた松本のダークサイドなのか…(うそ)。


デビューから6年。いかに売れるかを模索し、趣味を小出しにしながらマーケットにお伺いを立ててきたB'zは、こうしてヒットチャートの王座に君臨した。そして自分たちのやりたい音楽で邦楽市場に新風を送り込もうとするまでになったのである。

といったところで続く。
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