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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

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あえて今更B'zの足跡を辿る(4)J-POPのあり方にひとつの回答を出した全盛期

2013.07.13 (Sat)
ブルースに傾倒した「暗黒の時代」においてもセールス的な成功を収め、なんでも売れてしまう無敵状態へと突入したB'z。「売れるグループ」から「好きな音楽をやれるバンド」へ、という松本の野望も成就したところで、その先の展開への模索が始まる。
B'zは再び、最先端から加速するのである。

『ねがい』
95年はB'zにとってリセットの年となった。それまで音楽制作の中核をなしていたチームを解体し、松本と稲葉の二人でB'zという原点に立ち返ったというが、アレンジャーに稲葉の名がクレジットされるようになったのはそのひとつの表れであるといえるだろう。
そうしてリリースされた『ねがい』は、「暗黒の時代」とはうってかわってポップ路線に回帰。童謡を意識したというピアノのイントロ、カッティングが冴え渡るジャジーなアレンジ、ファルセットを交えパワフルかつ繊細になった歌唱、などなど、これまで積み上げてきた音楽をうまくポップス・ロックに昇華した1曲だ。このあたりの、万人向けと本格派のバランスは絶妙で、個人的には傑作だと思う。単純だけどサビのギターリフとか好き。
長髪をばっさり切った稲葉は爽やかお兄さんとして再生。すっかりダークサイドから抜け出し、内向的だった歌詞もポジティブな応援歌へと変化した。
日々の鬱屈を世間や他人のせいにせず、願いがいつか叶うように生きていこうぜと鼓舞する稲葉先生。恋愛では“情けない僕”を歌う稲葉だが、本作では「いつの間にかじゃない自分で選んで歩いてきたこの迷路」「世間をののしりゃご老人」などなど、人生泣くも笑うも自分次第と力強い。「夢はいつか叶うよ!」とかいう日和った歌詞と違って、「どうなろうがお前の人生だろうがよ!」と叱咤してくれるのが稲葉スタイルなのだ。そうだよなあ、愚痴ばっかり言ってても仕方ないよなあ、などと妙に反省したりする。

『Love me,I Love You』
『ねがい』に続いてリリースされたポジティブソング。「暗黒の時代」の反動か、この頃のB'zは明るいメッセージを連投してくるなあ。
本作はブラスをフィーチャーしたアレンジで、数多いB'zのシングルの中でもトップクラスの明るさを放つ。歌詞のリズム感も抜群で、メロディに心地よくはまるようにフレーズを練るという稲葉の姿勢がよくわかる。
「ふとんを噛んで考えて」「そこんとこ埋めるべきなのは」「けちってないで僕はきっと愛をもっと出せる」「すぐにムッとするのグッと堪えて」
“ん”とか“っ”をうまくはめて、とにかくリズミカルに、メロディの元気のよさを殺さないようにしている。稲葉独特の語感は、本人の語彙力とセンスによるところが大半だが、一見ヘンな言葉でもこうして躊躇なくメロディに乗っけてしまう迷いのなさにもよるんだなあと感心してしまう。「なんちゅうLOVE!」なんて歌わないでしょ普通。「気持ちよくなりたけりゃ今出して」でとどめ。ちょいエロ変態風味はねらってやってるよな絶対。

そんな稲葉節全開の歌詞だが、言っていることは真っ当。人を愛する振りをして妙な期待を抱きすぎてはいないかい? と投げかける稲葉。期待を裏切られたり、ついてねーなーと感じるとき、僕らはついつい他人や環境に責任を求めてしまいがちである。そこで稲葉は、もっと自分に目を向けたらどうだろうと提案。
「人の心はどうしても何か足りないけれど そこんとこ埋めるべきなのは」
「恋人じゃない 親でもない ねえそうでしょ」
!!!!!
あれこれ難癖をつけては満たされない自分の心を満たすのは、結局のところ自分自身なのである。J-POPにありがちな、恋人こそ人生といわんばかりの恋愛ソングに強烈なカウンターパンチを見舞う。
もっと自分も愛して、山も海も人も愛せるようになろう。さすれば人生これ満足。楽観的ともとれるが、極めて健康的な心のもちようであろう。

会いたくて震えてる場合じゃないぜ!

『LOVE PHANTOM』
B'z史上2番目の売り上げ枚数を誇る大ヒットシングル。その記録に恥じない、J-POPが辿りついたひとつの到達点ともいえる傑作だ。
ストリングスによる1分を超えるイントロは、オペラの幕開けを思わせる壮大さ。静謐な雰囲気から、スピード感溢れるサビに突入していく冒頭の構成は否が応でも聞くものの気分を高揚させる。
4つ打ちのデジタルビート、弦楽器の生音、そして松本のギターにキレのある稲葉のボーカル。これらが絡み合って疾走する様はかつてないほど劇的である。
歌謡曲の時代から、洋楽のあらゆる要素をチャンポンしながら、バンドブーム、カラオケブームを経てやがてビーイング的な量産体制に入った邦楽は、J-POPというドメスティックな特異点に至った。その中で常にマーケットと睨み合いながら音楽性を変化させてきたB'zは、この『LOVE PHANTOM』をもってJ-POPなるものに最終回答を提出したといっていいだろう。
邦楽史の名曲というよりも、J-POPの究極形態と評すべき1曲だ。


洋楽偏重だった「暗黒の時代」から一転して、J-POPの中心地へと回帰しつつ加速度的に進化したB'z。この時点でまだまだデビュー7年に過ぎないが、いわゆるB'z的な音楽はほぼ完成したといえる。
ファンが全盛期と称するこの時期を過ぎると、B'zスタイルの中でのマイナーチェンジを積み重ねるようになり、緩やかに売り上げも落ち着いていく。普通ならやり切った感で解散したりしそうな気もする状況だが、ここから18年も継続してきた彼らのモチベーションは驚異的だなあ。

といったところで続く。
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