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物忘れが激しく物覚えが悪い、三十路の備忘録

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著作権の非親告罪化が著作者とファンの共犯関係を壊す

2013.07.28 (Sun)
TPP交渉における著作権の論点のうち、保護期間延長と同等に重要視されているのが著作権侵害の非親告罪化だ。

アメリカ側が要求するこの非親告罪化が成立すれば、今は著作者本人の告訴がなければ起訴できない著作権侵害が、検察の判断だけで可能になる。そのため、著作権侵害の取り締まりが一層強化されるだろう、と考えられる。

アメリカがなぜこのような法改正を要求しているのかというと、自国のコンテンツを日本でもがっちり死守したいからである。
前回の記事で書いたように、天下のディズニー擁するアメリカは、圧倒的なコンテンツ輸出大国。ミッキーやプーさんによる権利収入を余すところなく拾い上げるために、著作権の保護を強化する「保護期間延長」「非親告罪化」を要求しているわけだ。

しかし著作権を守るため、とはいうものの、日本の市場に置いてはそれが直ちに権利者のメリットになるとは限らないから大変だ。

デメリットのひとつが、同人活動の制限である。
今まで「グレーゾーン」として意図的に見逃されてきた、ファンによる同人誌の売買や、いわゆる「MAD」のような二次創作動画の作成が、非親告罪化によってことごとく取り締まりの対象になってしまう。

作品の流用・改変・パロディであるファンの二次創作がなぜ黙認されているのかというと、原著作物の人気の維持・拡大に貢献しているからだ。権利を行使してファンを締め付けるよりも、自由にやらせて自作の露出や話題を広げてもらったほうが“うまみ”があるというわけ。

そもそも著作権者「訴えてやる!」と鼻息を荒くするのは、無断使用や盗用によって他社の作品が利益を得て、原著作物が利益を損なう、ゼロサムゲームが展開される場合である。
対して同人活動は原著作物のファンであることが前提であり、権利者と利用者の共犯関係がうまく築けているといえる。

最近は特にネットで“ネタ化”する作品や、いわゆる”腐女子”に愛でられる作品が局地的に人気を得る傾向が強く、自由な遊び場を奪うことは他ならぬ著作権者の不利益につながる。
ワンピースのような大衆人気を得にくい昨今、一部のコアなファンは従来以上に大切なお客様なのだ。

また、コミケやコスプレなどは日本独特の文化として海外でも認知されている側面もあるため、「文化の発展」という著作権法の目的に照らせば、それらを自ら失うことはすべきでない、とも僕は思う。

さらに経済の観点に立ってみると、コミケは553億円(08年、矢野経済研究所)もの市場規模があるとされており、決して小さくない経済効果を生んでいることも無視できない事実であろう。
まあ、どんだけファン同士が売買しても著作権者に1銭も身入りがないのは問題かもしれないけど、前述したような二次的な利益を享受していることで、今のところ「得」なんだろうね。

本当を言うと、きちんと権利処理したうえでファンが楽しめるのが一番なんだよね。
例えばフィギュアなどの同人即売会である「ワンフェス」では、その日その場所限定の版権が認められるシステムになっている。しかし同人誌においては作品がより多様・大量であり、立体物よりも版元の審査に手間がかかる、などの理由からコミケでは取り入れられていない。
他方ではJコミの代表を務める赤松健氏が、正式な認可を示す「同人マーク」の導入を提案している。
いずれにしても権利者とファンがそれぞれ個別に権利処理するのは現実的でないので、イベント運営者が一括して管理し、権利者に成り代わって販売の可否を判断できるようにしなければならんだろうなあ。

同人活動の制限以外にも、非親告罪化による問題はある。
創作活動が萎縮してしまう可能性もあるだろう。訴えられる可能性が高まるのだから、出版社や作者は表現にことさら気を使わなければならないし、チェックの手間も増える。
それに著作者の意志に関係のない告訴がもしバンバン行われるようになると、当事者の利害には影響がないのに、人員や時間やコストばかりが余計に発生してしまう。素晴らしい作品が第三者のいちゃもんで台無しになってしまうかもしれない。
これは文化的にも経済的にも損失ではないのか。

長くなってしまったが、非親告罪化は権利を厳格に守る一方で以上のような弊害を生む諸刃の剣だ。
僕は、権利の”遊びの部分”がコンテンツの売上拡大につながると思うけれど、海賊版や違法コピー、違法アップロードは単純に経済損失なので非親告罪化してでも厳しく取り締まるべきだと思う。
この線引きは超ムズカシーのだが、言ってしまえば「コンテンツによる儲けを増やすかどうか」がラインなのではなかろうか。

前回から再三書いているが、著作権とマネーの関係がもっと明確になればいいなと思う。
僕ら消費者にとって著作権は、パクリをめぐる感情論などに終始しがちだが、ひとつひとつの二次使用あるいは違法な利用がどういう利益・損害につながるかは、あまり身近でない。でもそこを理解しないとTPPの議論が進まないし、海外にコンテンツを売るどころか国内のコンテンツ産業でさえうまく育てられないように思う。
日本の資産としてのコンテンツに、もっと目を向けていこうと思いますハイ。
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